父から子へ受け継がれた、国内屈指のめのう工房
メノウや赤褐色化した質のよいジャスパー系の原石が採れる西川町では、製品化できる国産メノウは全国的にもめずらしいと、地域の特産品として開発することを決定。父(勝渓)が発起人となり、月山めのうの美しさと技を広めていった。平成元年に開設した「大井沢自然と匠館」内に工房を設置し、全国唯一オリジナルアクセサリーが作れる体験型工房が誕生。しかし勝渓が病に倒れ、これまで育て上げた工房の存続が危ぶまれた。父の培ってきたものがゼロになるのは悔やまれると跡を継ぐことを決意。いつしか自身も月山めのうの魅力に惹き込まれていった。
石との出会いは一期一会
通常は岩と岩の間にできているメノウの層をハンマーで叩いて削ったり割ったりしながら採石することが多い。月山めのうは粘土や泥の層から雨や風によって侵食され、こぼれ出てくるものを拾う。あくまでも自然の恵をお裾分けしてもらっている感覚。巧人は手ぶらで山や川に入り、決して自然に手を加えないことを大切にしている。
めのうは一つとして同じ模様がない。特に月山めのうは鱗雲のような細かい模様が特徴。派手さはないが、淡い色合いや奥深い模様が心を惹きつけるのだという。
メノウを知らない人にも素晴らしさを知ってもらおうと、時代に合ったオリジナルアクセサリー作りを探求。今では県の特産品、西川町のふるさと納税の返礼品として、勾玉やとんぼ玉、はしおきなどを制作。工房体験では、県内の石をはじめ、世界の美しいメノウを使用して、石の魅力を伝えている。