木地玩具 Kikuhiro Shida

木地玩具

Wooden toys

こけしは東北地方の郷土玩具で、江戸時代から続く工芸品は「伝統こけし」と呼ばれ、産地ごとに受け継がれる形や模様、技法など、それぞれに特徴がある。東北地方のこけしの産地には、鳴子(宮城県大崎市)、遠刈田(宮城県蔵王町)、土湯(福島県福島市)などがあり、これらの産地は「日本三大こけし」といわれている。西川町大井沢もこけしの産地であり、「菊摩呂こけし工房」が山形系こけしの伝統を守りながら制作を続けている。こけしは材木の乾燥・切り出しから絵付けに至るまでにさまざまな工程があり、一体一体に表情の違いを感じられる温かみが人気となっている。木の素朴な風合い、かわいらしい表情、とりわけ東北の手作りこけしを愛好・収集する若い女性達「こけ女」が誕生するなど、じわじわと収集家が増えている。

FABER月山 ~継承の手・創造の手~

木地玩具職人

志田 菊宏

Wooden toys

祖父 志田菊麿呂工人、高崎祐一工人が師匠。大井沢の地で菊麿呂こけしを守りながら、現在は大井沢湯殿山神社の宮司や朝日連峰自然公園の管理員の仕事をする傍らこけし製作を続けている。

STORY

代々受け継がれていく「伝統こけし」を守る

大井沢で木地業が発達したのは明治32年以降。当時集落の長であった志田五郎八が地域振興のため秋田から職人を招いて、漆器を製造・販売し、大正時代に最盛期を迎えた。菊宏の祖父・志田菊摩呂は18歳の時に五郎八に師事し、72歳にしてその名を高めると、こけし作りに傾注。大正時代に当地で作られていたこけしを復元し、以来その作風(大正型こけし)が菊摩呂こけしの名で親しまれた。孫「菊宏」はその意志を受け継ぐべく、学生時代から祖父の足踏ロクロで木地を挽いていた。山形県米沢市の「髙崎祐一」氏に師事し、昭和55年より5年間の修業期間を経て故郷大井沢に「菊摩呂こけし工房」を開業。志田五郎八、菊摩呂、栄の型を復元し、菊麻呂を継承した福助や福禄寿などの木地玩具も製作して精力的にこけし制作に挑む。 「菊摩呂こけし」は蔵王系や鳴子系の流れも汲んだ独自の「山形系」。太胴の「菊摩呂型」には開き菊や重ね菊などが描かれていいる。いずれも頭の鉢が張り、丸みを帯びた肩が特徴。

創作こけしを通じて伝統こけしを知るきっかけに

初代の菊摩呂から受け継いだ型と模様の「伝統こけし」を守りながら、現在、菊宏の長女「楓(かえで)」が父に師事し、三代目として日々こけし作りに精進している。

近年のこけしブームで人気の、個性溢れる「創作こけし」を親子で製作するようになった。しかし作り始めた当初は批判もあったという。 近年では、「きのこなこけし」、「帽子なこけし」と称される愛らしい木地人形でも女性ファンを中心に人気を集めている。これまで継承されたこけしのほか、若年層や女性にも気軽に親しめるようなかわいらしいこけしを手掛けている。

伝統
木地玩具職人 志田 菊宏

1980年 米沢市木地業高崎栄一郎・祐一氏を師事し弟子入り
1984年 同所5年間の修行期間を経て大井沢へ帰る
1985年 「菊摩呂こけし工房」を現住所に開業、現在に至る

工 房

菊摩呂こけし工房

山形県西村山郡西川町
大字大井沢1032番乙地

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工房の写真

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