陶芸 Takeshi Tsuchida

大井沢焼

Ohisawa pottery

2014年、土田さんの作品が茶道美術品の収蔵で有名な京都市の北村美術館の木村館長より「大井沢焼」と命名される。「◯◯焼と呼ばれるものは、百年、二百年と時代を重ねていくなかで、いろんなものが削ぎ落とされて、いいものが残る。それが特徴であり、ぼく個人が生きている間に大井沢焼の特徴を語るなんてのはおこがましい。どこかで僕の作品を見た人が『これって大井沢焼だよね』って言ってもらえるような何かができたら良いって思います」

備前焼や唐津焼のように、大井沢焼も時間をかけてその特徴が確立されることを信じている。

FABER月山 ~継承の手・創造の手~

聴雪窯

陶芸家 土田 健(つちだたけし)

Pottery

千利休の子孫である三千家の家元に茶道具を納める京都の名匠の家系に生まれながら、山形のなかでも雪深いエリアのひとつである西川町大井沢地区に移り住み「聴雪窯(ちょうせつがま)」という名の登り窯を構える。茶陶を中心に意欲的に制作活動を行う。

STORY

日常にあった茶道の世界

茶道具を入れる袋を作る「袋師」の家系に生まれ、幼少期から母親の影響でお茶会に連れて行かれることも多く、自身でお茶を点てて飲んでいたほど茶道は常に身近な存在だった。京都、そして唐津で修業を積んだ後、2007年に西川町大井沢に移り住み、茶陶を中心に作品を生み出している。陶芸をはじめた当初は、ただ焼き物に携わる仕事ができればと思っていた。しかし本格的に学ぶうちに陶芸の奥深さに魅了され「自分自身の作品を生み出したい」という情熱が芽生えていったという。京都生まれだが、母親の実家は山形県山形市にあり、登り窯ができる、煙をいくら出しても問題のない場所を探していたときに、もともと祖父が山遊びの別荘として所有していた西川町大井沢の古民家をタイミング良く譲り受けた。

こだわらないことが、こだわりである

大井沢に暮らして約15年。昔は自分の作るものに対し「こういうものを作らなくてはいけない」という固定観念があった。しかし今は伝統的な技法を守りつつ、自然豊かな作陶環境だからこそ生み出せる、作意が感じられない、自然と共に生まれる作品を目指している。

2011年に山形市で初めての個展を皮切りに、県内はもちろん、仙台や京都、金沢など、全国各地で精力的に展開し、以前勤めたお香の製造会社での作陶展や、十三代当主である兄との兄弟展を開催するなど活躍の場を広げている。

「山奥で作陶をして、じっとしていても誰も見向きもしてくれない」

今後の目標は、規模にはこだわらず、個展を全国47都道府県、そして海外で開くこと。そして若い世代にもっとお茶に気軽に触れて、愉しんでほしいとの熱い思いを抱いている。

伝統
陶芸家 土田 健(京都府)

1972年 十二代袋師友湖の次男として生まれる
1995年 佛教大学文学部仏教学科仏教学専攻卒
1999年 京都府立陶工高等技術専門校成形科修了
2000年 京都市窯業試験場陶磁器コース修了
2000年-
2004年
唐津にて修行
2007年 聴雪窯 開窯
2011年 山形市にて初個展
以降全国各地にて個展開催
2014年 北村美術館 木下館長より「大井沢焼」と命名賜る
2018年 柿傳ギャラリーにて土田半四郎と土田半四郎 [千家十職 袋師友湖] × 健 [聴雪窯] 兄弟展 開催
2022年 高島屋京都美術画廊にて個展

工 房

聴雪窯

山形県西村山郡西川町大井沢325-1

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工房の写真

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